6月5日(土)

朝Paul Gliffが迎えにくる。Lennyは膝を手術したため大会にでられない。着いた翌日から Boston Invitational というUPA Easternで一番大きい大会にでることになっていたのだ。まあ紹介だけでもさせてもらえればという気持ちだったのだけれどそんなところではないことがあとでわかった。

迎えにきたPaul GliffはLennyの家から車で10分ほどのこれまたでかい家にすんでいた。仕事はFinancial Plannerで子どもは3人。この今年37歳になる#22は身長は190cmを超えるすんごい選手だ。チームにはどんなに日本人ががんばってもどうしようもないなと思わせる奴が何人かいるが,彼もその一人。ディフェンスが主だがオフェンスもうまい。大男が見事にカットする様はみていて圧巻。横幅もすごいがっしりしていている。でもホーミーもできる。かなわん。

グランドに着くとみんなが歓迎してくれる。メーリングリストでみんな僕が行くことを知っていたし,2度世界大会で顔を合わせているのでほとんどがみたことのある選手ばかり。Mr Carifolniaが大きかったのかもしれぬが。。。 挨拶がすむとアップもそこそこに試合にでることになる。初戦は,Atlanta Chain Lightning。世界大会にもでていたしロキートスでプレーしていたMalcomがいたチームなので日本でも知っている人が多いだろう。一昨年に日体大が戦っている。メンバーがそろっていないこともあり余裕。 だけど自分は自分でもわかるくらい動きが固くておまけにアップをまともにしていないもんだから息があがってしまってひどいもんだった。とりあえずミスしないでプレーするのでいっぱいという感じだった。エンドゾーンでフリーになってもみてくれないし,抜けてないんだなんだか自分で不安になってしまった。これはちょっと大変だなと思った。そんなに強くない相手を前にこれじゃ先が思いやられる。

ボストンはこの時期大学生とかもメンバーにいれていて総勢24人。これだけの数じゃどうにも試合にでる時間が少ない。あまり満足にプレーできなかった。学生はアメリカではまだまだひよっこ。学生連中はどう考えても僕より下手だし,線が細い。シーズンに入るとこの連中は外されていくことになる。自分がそうならないことを祈るばかりだが。学生の中では一人すごい奴がいる。Pouchという21歳のトムクルーズ似のプレーヤーだけど,これが万能選手。聞くと彼は高校のときからDoGのメンバーに指導してもらっていたそうだ。日本も早くそうなればいいのに。スローは抜群にうまく丁寧,カットは力強くキャッチミスはほとんどしない。決勝の最後の場面で難しいスローを落としたけれど彼の責任とは言い切れないだろうと思った。オフェンスで僕とBuddyをくむことが多かったので注意してみていたけれどかれはこれからBostonの中心になるんだろうなと思った。信頼されているし。

次の試合はMinessotaのSubZero。最近力をつけてきているチーム。DOGに対してむきになってやってくるしリードをとられたのでけっこう緊迫する試合になった。こういう試合でオフェンスのとき名前を呼ばれるとすげー緊張する。キャッチミスが一番こわい。この試合で4ー5の場面でオフェンスにでたときは緊張した。13点ゲームの中では絶対落とせないところ。同点でついていくか,2点差になるか。DOGでは,オフェンスは完全にフォーメーションになっていて下から catch the pull hitch man buddy shortfill longfill 7thman にわかれる。manとbuddyがエースライン,fillがサポートになる。とにかくエースにスペースを与えることが重要。すんごいオープンスペースを与えて自由にエースを走らせるのが強いオフェンスということになる。エースはまずミスをしないし,オープンなら確実にパスをもらえるというのが前提にある。日本ではスローワーの投げられるレンジでプレーの幅が決まってしまうが,こっちでは投げられるのが前提にあるのでとりあえず全方向に動ける可能性がある。もちろん難しいときもあるけれど。だからディフェンスは非常に難しい。カットされた時にはすでにオープンスペースに矢のようなパスが飛んでくるような感じ。

とこんな感じのオフェンスで,4ー5の場面でbuddyのポジションをやるように言われ緊張した。manがJim Parinellaだったのでとにかく抜ければどこにでもパスがくる(彼はオフェンスの中心選手で10秒台で走る足と正確なロングスローを持っている)と思ったんだけれど,最初に指示されたスタックの位置を間違えてBillyに「おまえはあっちだ」と言われているうちにJimがディスクを持ってしまった。いそいでアップフィールドにポジションを移動して一瞬Jimと目を合わせて奥へカットするとそれこそ矢のようなスローが頭上に飛んできた。文句なしの点だったと思う。よかったよかった。あわてていた分よけいな心配をしなかったのが功を奏したのか,すばらしいデビュー得点になった。高いのをがーんと取って。

これのおかげであとは落ちついてプレーできた。カットも抜けるようになってきたし,チームメイトも信頼して見てくれるようになってきたし。ほんとによかったよかった。これでなんとかやっていけるんじゃないかって思えた。だんだん落ちついてくるとメンバーの特徴もよくわかってきたし,どういうプレーが好まれるのかもよくわかってきた。Isolationがオフェンスでは非常に重要だ。とにかくスペースをつくる。スペースがあればあとはがんがんカットして振り切ればパスは飛んでくる。そんな感じ。

ディフェンスは,ちょっと難しい。manのときはとにかくがむしゃらにがんばるのが好まれるから最初にハンドラーのちっこい奴につけてもらってFirstCutをとめればすごい評価してもらえるし。アメリカ人にとって速いハンドラーを抑えるのは相応のスキルが必要とみなされていると思う。そういうDを必要としているということでもある。日本だったらそういうのばっかりだし,むしろ日本のハンドラーのほうがつくのが面倒くさい気がする。個人的な感想だけど。自分がこっちで必死でやっているからそう感じるのかもしれないが。

man以外は特にDOGはバリエーションが多く難しい。トランジションも一回ではなく1プレーで2回も3回もやったりする。すごいのは外で見ていてもなにをやっているのかわからない。1-3-3でも時にマンツーに見えることがある。彼らはスペースを守るという意識とともに,自分のスペースに入ってきた人にはぴったり付くという意識を持っていて,人を捕まえるのがうまい。つまり人を捕まえながらスペースを守る意識を持っているのだ。これが日本と大きく違う。日本ではディープはほとんど人を捕まえていない。だから本当にパスするところが少ない。これを実践するためにはサイドラインからの正確な指示が必要だ。DOGはそれをしっかりやっている。背後に人はいるのか人を受け渡すのか。基本だけど徹底しているところがすばらしい。強いチームの秘訣だろう。

オフェンスでもディフェンスでも彼らはじぶんたちのやろうとしていることを実践することを一番に考えていてそれを実行するためにしっかりミーティングをするし,長いことチームでやってきた人間ほどそれをフィールドで実践する力がある。それを強く感じた。いろんな状況を想定して納得行かないところは一人づつ発言していく。そういう環境が整っている。 試合が終わった後Paulの家で バーベキュー をして帰る。なんかこんな生活していたら日本に帰る気がなくなる。天国のようなところだ。まあ働いていないからそもそも極楽なのかもしれないが。こんな経験ができるなんてアルテやっててよかったなぁ本当に。

6月6日(日)

この日は4試合,決勝まで厳しい試合ばかり。WashingtonDCもいチームで中盤までビハインドという展開だった。結局最後はしめるのがDOGらしいということなのだろうが。この試合でもまあまあの働きをした奥でがつんと取ったし。ここらへんのチームは日本チームだと勝つのが難しいと思う。やっぱりオフェンスのミスが非常にすくない。風が強くても(向かいでスローオフを投げてフィールドの3分の2を越えるくらい)まずミスしない。キャッチミスは皆無に等しい。これが一番大きい。むしろ糞スローをキャッチでカバーしている。なんだよそのキャッチというのがけっこうある。それで当たり前というように淡々とオフェンスしている。でも自分がプレーしているときはキャッチミスが一番こわい。スローも速いし。

準決勝のNewYork戦はかなり厳しい試合。たしか2点差だったと思う。0−3のスタートだったけどじわじわとプレッシャーをかけて追いつき前半最後でひっくり返した。NYのテンションも高くアメリカ人のタフさと強さを感じた最初の試合だった。厳しい試合のテンションを肌で感じた。これまでの試合と全然雰囲気も違ったし,ギャラリーも多く,世界大会の決勝のときのような感じだった。着いてすぐこのテンションとは。NYNYのメンバーも残っていた。あのKennyは今年からRing of Fireでプレーするらしい。

試合の序盤でダイブDを決めてけっこうテンションがあがっていたので自分もかなりよいプレーができたと思う。4点くらいとった。試合前にゴール前で僕に走らせるようにMoonieから指示がでていたのでだいぶやりやすくなった。1 on 1でゴール前で勝負したら味方のスロー力からしてまずもらえる自信があったし,実際そんなに難しいことはなかった。このへんは日本でよく知った連中とやるほうが難しい。石塚や小河につかれるほうがいやだなと思う。アメリカではどこにでも投げてくるという恐怖感がDにはあってそのためオフェンスは有利になっている。

決勝はまさかの延長戦負け。先に勝つチャンスを握っていたのに不覚をとった。マイアミに負けたのは18年ぶりとのこと。自分がきてそんなじゃすごいつらい。南部らしいテンションの高い連中だった。すげー終わったとき興奮していたな。オフェンスはすごい正確でどんなDに対しても確実に対応していた。この試合も0−3のスタートで相当苦しんだあげく最後に逆転してリーチをかけた。あのままいえば。。。おもしろい試合だったけど負けてはね。信じられないようなプレーもたくさん拝ませてもらった。でも最後まで絶対勝つって信じて疑わなかった。Moonieが「リラックスして楽しもう,簡単なプレーだ」って言うと本当にそんな気持ちになる。でも今はまだ若い連中も多くてチームとしてまとまっていなかったように思う。 この試合では,オフェンスでスタメンで出してもらった。けっこう信頼してもらえたのかなと思う。最初はびびってたけど慣れてくるうちにちゃんとやれるようになってきた。GreatJobとみんなに言ってもらえるのは嬉しい。

14-14の場面でオフェンスにでたときはさすがに緊張した。落とすと相手がリーチ。18年ぶりの勝利がかかっているだけに相手も必死。すげーこえー顔してDしてきた。なんかこうイっちゃっているというか。オフェンスもエースラインが崩れて自分のラインがでていくことになった。半分を越えたあたりでトラップで縦に抜けてJimからパスを受けIsolationで縦奥に抜けたPouchに超スイートスローを投げて点をとった。自分よりチームの連中が興奮してた。けっこう自信もってあれくらいできるつもりだったんだけど,あまり無理なスローをしてこなかったのでみんな驚いたのかもしれない。風も強かったしあの状況なのでなんであんなうまい具合に投げられたのかわからないけど気持ちよく投げられた。よかったよかった。今考えると少しびびる。

まあ負けてしまったけれど何はともあれこうしてボストンでのアルテ生活が始まったわけであります。 今,JohnBarの家の屋根裏のような部屋でベッドに寝そべりながらこの2日間に起こった夢のような出来事を思い返している次第です。それにしてもこの部屋はひどく暑い。 まあそんなわけでまた。 練習は今週の日曜日から開始。火曜日はトレーニング,木,日曜日に練習。 捻挫が腫れていて痛い。ビール飲んだしな昨日。遅くまでリビングでビデオみてたし。この家では毎晩そういう生活をしているそうで,庭のバーベキューもフル稼働だそうだ。まったく。健康管理に気をつけないとぶったおれそうだ。


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